【本日の魚】鱸

2022.10.10

魚に「慮る」と書いて鱸。

身近な浅瀬(時には背鰭が出てしまうほどの浅瀬!)まで回遊してくる大型魚として釣り人を楽しませてくれる魚、鱸。私もこの魚に魅了され、産卵期と重なる秋のシーズンには足繁く、お気に入りのポイントへ夜な夜な通うのです。

たえず深みから水面方向に睨みを効かせ、水面付近を泳ぐイワシやボラなどの小魚に食らいつく、そんな習性に特化したシャクれた下顎。不恰好すぎる下顎のせいで、「慮る」魚として命名され、尚且つシャクレが過ぎたせいで、捕食は苦手、らしい。そんな鱸は、先日の記事のボラと同じように、エサが豊富な汽水域(河口付近の海水/淡水の混じり合うエリア)でもよく見られる魚。そして汽水域で釣れる魚には独特の臭みがつきものなのです。まな板に乗せ、捌いていると、どこからともなく釣り場の水質の香りが鼻の奥をついてくる。いかにしてこの香りを撃退し、旨く頂くか、自分なりにググって実践したので、汽水域の魚を攻略したい人の参考になれば嬉しい限り。

そもそも海水/淡水間を移動する鱸は太平洋の沖合から、埼玉の田んぼの脇をながれる小型河川まで生息域が広い。そのくらいに水質順応能力に長けた魚らしい。この能力は浸透圧調整機能と言われていて、簡単にいうとハクサイに塩を振れば水分が抜けて漬物になる原理、なのである。淡水魚・海水魚、ともに魚体血中?体液?塩分濃度は〜1%程度。海水は3%、淡水は0%。

浸透圧

濃度の異なる水を並べた時、濃度の均一化の過程で水分が移動する現象?のこと。

【海水魚】

濃度の濃い海水の中でいきている魚は、常に塩を振られたハクサイ状態。何もしないと漬物になってしまうのを防ぐため、体内に海水(水分)を腸から取り込むと同時に、顔の付け根にあるエラや尿から塩分を放出している、らしい。つまりは淡水魚を海水にいれると、この機能を持っていないため、漬物(脱水状態)になって死んでしまう、らしい。

【淡水魚】

淡水魚の場合は、より塩分濃度の方が高い魚体内に淡水が入り込んでくる。尿から水分を出して、体内塩分濃度を維持しているというワケ。海水で生息している魚を湖に放てば、水がどんどん浸透してきて、体は膨張し、死んでしまう、らしい。

【で、鱸はその二面性を変幻自在に操っている】

のです。海水/淡水/汽水域を棲息圏としているので、エラや腸、腎臓あたりの機能をその場の水分塩分濃度によって調整しているのでしょう。鱸を始め、汽水域で釣れる魚の身の香りは、淡水(汽水域)に入り込むと同時に魚体内に川水(+川の水の香り)が浸透してしまうために、海水オンリーで生きている鱸に比べ、匂いが付く。そしてその浸み込んだ水分さえ抜いてしまえば、美味しく食べられるはず、という単純な話だと思うのです。

下記、我流な鱸を美味しくたべる方法

●釣ったら、血抜き、神経締→エラ&動脈が走る尻尾の下側をナイフで切り、血抜き。合わせて脳天にナイフを突き刺し、セビレがビクっと立ち上がるのを確認して神経を絞める。

●自宅で頭、カマ、ハラワタをとり、塩で体全体のヌメリを取る様に綺麗に洗う。ヒレは雑菌が繁殖しやすいので全部ハサミでカット。水気を拭いたら、新聞紙、ペーパーなどで綺麗に包んで、ゴミ袋へ。ゴミ袋は口に掃除機のノズルを当て込み、とりあえず真空風にして、1日冷蔵庫で放置。嫌な感じのドリップ?的なものを吸い取る工程。

●1日後、新聞を取り替え、さらにもう1日冷蔵庫へ。

●腹身や切断面など空気に触れていたところは雑菌が繁殖している恐れがあるので、切り取って捨ててしまう。3枚に卸し、皮をひいたら、濃いめの氷塩水に切り身を適度につける。(浸透圧を使い、切り身の中の水分と匂いを氷塩水に流し出すイメージ)氷塩水から上げたら、ペーパーで包んで、夜ご飯の準備まで冷蔵庫へ。

●最後に氷水につけ、塩気を洗い流し、ペーパーで綺麗に拭き取ってあげて、カット&お皿に盛り付け。ややしっとりとした食感の刺身で頂く。

最後の氷塩水に漬け込む流れは、スーパーで買ったマグロやイナダなどの刺身用サクでも、とても有効。生身のアク?汚れ?的なものを綺麗に落ちて、身もプリっとして旨くなるように思っている。釣り上げてから3、4日。丁寧に、それこそ手塩にかけてお世話をして、いざ食卓に並んだ魚に舌鼓を打つのが至福の時間なのでございます。

【参考記事】

https://sakana-japan.com/osmotic-pressure/

https://www.fujiclean.co.jp/fujiclean/story/vol06/part301.html

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